2003年8月25日
●陰摩羅鬼の瑕  京極夏彦
やっと読み終わりました。
読んでいるとき楽しかったですよ。
今回は特に京極の文章の構成に舌を巻きました。
あの焦らす書き方。
読者にとっては堪らなかったです。

ではネタばれです。
以下はネタばれ
以下はネタばれ
以下はネタばれ
ここまで書いとけば大丈夫でしょう。

まずは備忘録

探偵小説の半ば以上が、世人が、経験する事を極度に怖れながらも意識化に於ては却ってその経験を欲している所為ではないかと

貧乏は罪悪じゃない。しかし貧乏が罪悪を生む事は往々にしてある。嘘だってまやかしだって、必要に迫られて已むを得ず出て来るものだろう

お金はあんまり偉くない!

死とは人間が常に引き受けなければならない存在可能性である。(ハイデッガー)

子日、不患人之不己知。患不知人也。

疵は、覆い隠していればやがて膿む。傷口が広がれば痛む。血も流れるだろうし、死ぬ事もあるだろう。だから本来はきちんと瑕の深さを見極めてやらなければならないのだ。小さな瑕は見て見ぬ振りをしていても治るが、大きな疵は治らないのだ。

真相などと云うものは幾つも幾つもあるんですよ。謎を解明すると云うのは、要するに幾つもある真相の中から一番都合の良いものを選び取ると云うことなんです。

記憶とは写真の乾板のようなものだ

侃(黒下駄の音)

「人は人を救えないよ、関口君」
「僕は神や仏でなく、人だ」

本当に傷を治すのは傷を受けた当人だ。

以上。心に残った言葉を列挙。
残しておかないと忘れるからね。

文章
くどいという方もいるかもしれないが、私は舌を巻いた。ここまで読者を惹きつけるとは。
依然京極自身が文章構成については特に考えているというのを聞いた事がある。
今回のは成功だと思う。いろいろな視点からかたらせて物語を緊迫感溢れたものにする。勉強になります。
△△からの視点でも○○たんの言葉は最後は「」になってないもんね。まあ、あそこら辺で気付かせるってのも狙いだと思うけど。

○○たん
好みです(馬鹿)だからここまで人物を描けるっていうのもすごいと思いますよ。どうしても対象に対してはおざなりになったりしますから。会話で行動で描くことによって読者に愛着を持たせる。そして……。うむ。残念だ。
眼鏡かけていたら最高だったのですが(華風剥製行き)

どうなのよ?
榎木津はなんだったんだろ? メイドはべらせやがって(そこで怒るな)京極もしかり。確かに防ぐのは難しいと思う。でも、最悪の場合は寝所に押し入ってでも阻止すべきだったんじゃないかと。京極なんかは起こるか起こらないかわかんないみたいな事言っているし。話聞いた時点で予想はつくと思うのだが。
京極は対象が敦子でもあんな行動なんだろうか?

何作か読んだためか、展開はあっさりと読めましたね。問題は○○たんでした。馬鹿華風はハッピーエンドを期待したのですが、そこは京極でしたね。
 まあまあお勧めといったところです。

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